- 多かれ少なかれ 後編-

 

驚きに目を見開く私を店の軒先へと追いつめた彼は、はあ、とため息をついたあと、傘を持っていない方

の私の手首を掴んだ。お気に入りの折り畳み傘が、弾みで足元に落ちる。

「・・・・・え?」

間近で見る彼の息が弾んでいる。初めて見る、思いつめたような、眼差し。

彼の前髪から、雨の雫が落ちているのを、私は呆然と見上げた。

目の前に見ているのが本当に彼なのか、今起きていることが現実の事なのか、混乱した私にはよく分か

らなかった。

私、もしかして、今夢を見てる?

そんな思いを吹き飛ばすように、掴まれた腕が、ぐいっと彼の方へと引き寄せられた。

「・・・・・やっと捕まえた」

かすれた、低い声が耳元に響く。

抱きしめられているのだ、と気がついて息ができなくなった。

私と彼の間に、雨の音だけが降りてくる。

何・・・?

いったい、何が起こったの?

 

どのくらいそのままだったのだろう。

私は急に状況を思い出して、彼の身体を押しのける。

「・・・やっ・・・離してっ・・・」

彼を振りほどこうとしているのに、うまく彼の腕から逃れられない。

どうして私にこんなことするんだろう。

あんなに綺麗な彼女がいるのに・・・!

 

彼が、抱きしめていた腕から力を抜いた。

見上げた彼の表情が傷ついているように見えて、私は少しひるんだ。

彼が足元に落ちていた傘を拾って私に手渡してくれた時、長い指が少しだけ私の指先に触れる。

こんな時なのに、やっぱり綺麗な手だな、と思って、自分を馬鹿だと改めて感じた。

心の扉をきちんと閉めなきゃ。

彼が何を考えて今ここにいて、私を抱きしめたのかは分からない。

でも、いくら自分が好きな相手でも・・・ううん、好きな人だからこそ、彼の遊び相手でもいいと思えるほど、

私は強くない。

馬鹿な矜持かもしれないけど、自分をそこまで貶めたくもないし、私のせいで彼女を悲しませたくもない。

 

彼の低い声が沈黙を破った。

「・・・いきなりこんなことして、ごめん。

 ずっと君のこと探してて・・・・・でも探せるのは今日が最後だったから、ちょっと余裕なかった」

探す?・・・・・・・最後?

私を探してくれていた、という言葉の意味が分からない。

でも、最後、という言葉が意味することだけは分かった。もう会えない、ということだ。

彼の言葉を待ちながら、遠くから憧れていたその人の苦しげな表情を見つめた。

安っぽい街灯の白い灯りが、何かを急かすようにちかちかと点滅する。

「転勤に、なったんだ。多分四、五年は東京には戻って来れない」

 

やっぱり、もう会えないんだ。

ずっとずっと、私が一番、恐れていたこと。

急に鼻の奥が、ツンとした。

あの時間にホームに行けば会える。

彼に会わないように避けているくせに、それだけが、私の心の支えだったのだと今になってよく分かる。

ただ顔を見られるだけで、幸せだったのに。それ以上、何も望まなかったのに。

気がつけば頬に涙が零れていた。

 

「あれ、やだ、ごめんなさ・・・」

彼の両手が、私の頬をそっと包む。

親指で優しく涙を拭われる。大きくて、温かな手だな、とぼんやり思った。

どんな事情があるのかは分からないけど、彼が私を騙そうとしたり、からかっているようにはどうしても

見えなかった。

「自惚れて、いい?」

視線を上げると、彼が私を真剣な眼差しでみつめていた。

「君が、僕のために泣いてくれてる、って思っていいのかな」

なんて答えたらいいのか分からなくなって、私は言葉をなくした。

彼には彼女がいて、もうすぐ転勤することになっていて。

なのに私が彼を想っているのかどうかを確かめている・・・んだよね?

どうして?

考えれば考える程混乱するばかりの私は、うつむいて足元にある水溜りを見つめた。

 

彼が近づいてくる気配を感じて、私は恐る恐る視線を上げた。

あっ、と思った時には唇が触れ合っていた。

温かな唇がそっと何度か確かめるように押し付けられ、彼の手が私の後頭部へと回される。

私は驚きのあまり、目も閉じられずにいた。

うそ、やだ、なんでいきなりこんなことに。

彼の綺麗な顔を間近で見た私は、唐突にあの彼女が誰に似ているのかが、分かった。

・・・会ったことがあると思ったはず。

「もしかして・・・」

惜しむように離された唇を確かめるように両手で覆ったあと、私は恐る恐る訊いた。

「あの女の人って・・・・・妹さん・・・?」

彼は驚いたように目を見開いたあと、くすりと笑った。

「・・・・・・そんな事伝えたら、喜んじゃうな。あれは、姉貴。

 僕の三つ上だから・・・32、かな」

どう見ても20代前半だと思ったのに、とか、ということは彼は29歳なんだ、とか、いろんな思いが

一気に湧いた。

そして、はっと気がついて青くなった。

初めてのキスの後に訊くことじゃないよっ、そんなこと!

絶対呆れられた!・・・・っていうか、ええっ、本当になに、なんでいきなり・・・。

私は混乱しすぎて泣きそうになった。ねえ、これ、ホントに夢じゃないの?

「そんなことより・・・」

彼の表情が、ふわり、と和らいだ。いつの間にか雨が止んだのか、雨音がしない。

私は自分にお願い落ち着いて、と言い聞かせながら、彼の言葉に耳を澄ませる。

「・・・・・・名前、教えてくれるかな」

 

雨のやんだ夜道を歩きながら、彼がぽつりぽつりと私の疑問をほどいていってくれた。

お姉さんがたまに出張のために上京して、泊まりにくること。

一緒に駅に行くのを嫌がったら、誰か気になる子でもいるんでしょうと見ぬかれ、その上相手は私だと

すぐに見破られてしまったこと。

幼い頃からそっくりだと言われていて、まさか私が気がつかないとは思ってもみなかったこと。

たまにいなかったのはやっぱり出張だったこと。

彼の方も私を気にしてくれていて・・・・でも、怪しまれると思って目も合わせられなかったこと。

私も少しずつ自分の事を話した。

仕事の事、家族と一緒に住んでいること。

・・・・・・・ずっと前から、彼を見つめていたこと。

 

「ホントはもっとちゃんと時間をかけて少しずつ知り合いたい、って思ってたんだ。

 どこか外で待ち合わせて、食事でも誘って、って思ってた・・・・でも・・。

 実はあさってが引越しなんだ。

 二週間前に内示が出て、ばたばた引き継ぎとかしながら・・・・諦めるしかないな、って思ってた。

 名前さえ知らないし、結局すぐ離れ離れになるのに、付き合ってくれなんて言えないよな、って。

 でも、引越しが近づくにつれて、どうしても、このまま君と離れたくないって思った。

 だから、朝、乗る時間を変えては君を探してた。

 今夜が最後のチャンスだ、と思ったから終電まで待ってた」

彼が、つないでいた私の手をぎゅっと握り締めた。

彼の気持ちが、手の平を通じて伝わってくる気がして、すごく、嬉しかった。

 

あのコンビニの前で、彼が立ち止まった。

「あの日、レジに君がいるのを見て・・・あ、話しかけるチャンスかも、って思って。

 でも、夜だったしストーカーと間違われるかな、とかいろいろ考えて・・・・」

少し照れたような困ったような彼の表情が、たまらなく可愛くて思わず笑った私の頬に、彼がそっと

手を添えた。

ずっとずっと、焦がれていた彼の大きな手の平。

「・・・・ずっと、君の笑顔が見てみたかったんだ。

 ・・・・・・・あきらめなくて、よかった」

向かい合わせになった彼のからだに、両腕を回した。

雨に濡れたシャツを通して伝わってくる、彼の体温に頬を寄せる。

コンビニから出てきた赤ら顔のおじさんが、若いねえ、と私たちを冷やかしていった。

 

ようやくからだを離した私たちは、アドレスと携帯の番号を交換した。

「あの・・・転勤、って、どこに」

出来るだけ近い所ですように、と祈りながら聞いたのに、沖縄、という答えにがっかりする。

何時間かかるんだろう、お金もかかりそう・・・・。

悲壮な顔をした私に、ごめん、嘘、ホントは仙台、と彼が笑う。

「や、なんか、からかいたくなる顔してるからさ」

くすくす笑いながら言う彼に、私はひどい、とにらむ真似をしてみせる。

「仙台、地元なんだ。だから、引越しっていっても実家で、姉貴も住んでる。

 落ち着いたら・・・・・来てくれる?」

彼の甘い瞳が私をじっと見つめて、そのまま私の額にキスを落とした。

濡れた彼の両腕に包まれた私の身体も、もうすっかり湿っている。

「あー・・・・もう、このまま連れてっちゃいたいな」

ぎゅうっと抱きしめた腕に力をこめた彼を、私もつよく抱き返す。

連れて行って欲しいな、いつか。

「・・・・会いに行くね」

言いたいことはたくさんあるのに、うまく言葉にできなかった。

でも、いいよね。

もう、あのホームでは会えないけど、でも。

「・・・・会いたい時は、いつでも電話して。すぐ、来るから」

うん、と答えようとした私の唇を、彼がふさぐ。

いつか私が死ぬとき、きっと私はこの雨の夜を思い出す、と思った。

この先なにがあるとしても、私の人生の中で、今夜がきっといちばん幸せな日だ、と。

 

「すっかり遅くなっちゃったな。家は、どっち?」

あのごつい腕時計を見た彼がそう言うのを、絶望的な気持ちで見上げた。

まだ、一緒にいたいのに。

そう思っていた私の気持ちを察してくれたのか、彼が私の手を握りなおす。

「散らかってるけど・・・ウチに来る?」

返事の代わりに、彼の家の方向へと歩き出した。

道路に反射している信号機の光さえ、今夜の私には美しく見えた。

 

引越しの途中だ、という彼の部屋は確かに雑然としていて、蓋のされていないダンボールがいくつか

部屋の隅に重ねられていた。

「足元、気をつけて」

そう気遣ってくれる彼の言葉に頷きながら、ジャケットを脱いで簡単に畳んで腕にかけた。

「ごめん、散らかってて。なんか飲む?・・・って言っても、ペットボトルのお茶くらいしかないな」

ワイシャツの袖を緩めながら冷蔵庫を覗いていた彼が、ほとんど空の庫内にため息をつく。

「あの、おかまいなく」

勧められてソファに腰を下ろした私は、足元に目を落としたまま、混乱していた。

雨の中、何度もキスを交わして・・・いくつもの約束をして、でも、どうしても離れがたくて誘われるままに、

彼の部屋までついてきてしまったけれど。

つい一時間前まで名前も知らなかった男の人の部屋についてきた私を、彼はどんな風に思っているの

かな。

そう思ったら、恥ずかしくて顔を上げられなくなった。

自分の前に影が落ちて、目を上げると隣に彼が座っていた。

正方形のガラステーブルの上に、二つ、ペットボトルのお茶が並んでいる。

彼の手が伸びてきて、膝の上に置いていた私の手に重ねられた。

そのまま、視線が絡んで、彼が困ったように笑う。

「・・・そんなに緊張しないで。

 どうしてももっと君と居たくてつい、ここへ連れて来ちゃったけど・・・。

 やっぱり我慢して送るべきだったな。

 なんにもしないから安心して、って言いたいけど、ダメだ、こうしてるとやっぱり、君に触れたい」

重ねられていた温もりが離れて、テーブルのお茶の上を取り、キャップを開けて私に渡してくれた。

綺麗な、長い指。

混み合う電車の中、つり革を持っていたたくさんの手の中で、彼の手だけが私には特別で。

「お茶を飲んだら、送るよ。

 しばらくはバタバタしちゃうけど・・・そうだな、来月には一度帰って来るから」

電車の中で、そっと盗み見るだけで幸せな気持ちになれた、この人は・・・。

あさってからはもう、遠くに行ってしまうのだ。

勇気を出していれば、もっと早くに親しくなれてたかもしれないのに・・・今度いつ、こんな風に会えるのか

分からないのに。

立ち上がろうとした彼の肘を、気がつけば止めていた。

自分から一度も告白したことなどない私にとって、こんな事を言うなんてキヨミズところか、スカイツリー

から飛び降りるくらいの覚悟がいること、だけど。

 

「・・・私も・・・まだ、一緒にいたい、です。

 今度いつ会えるか分からないのに・・・・帰さないで」

震える声で、私の精一杯を伝えた。

今自分がどんな顔をしてるかなんて、鏡が無くても分かる。きっと、情けないくらい真っ赤で・・・。

私の言葉を聞いた彼が、一瞬驚いた顔をしたあと、ぎゅうっと私を腕の中へと抱きこんだ。

「せっかく理性を総動員して紳士的に振る舞おうとしてるのに、ひどいな。

 そんな可愛いこと言われたら、どうしたって帰せるわけ、ないだろ」

・・・やっと念願かなって想いが伝わったのに、という彼の言葉が、甘く、私の心を溶かしていく。

 

交代でシャワーを浴び、着替えのない私は彼のシャツを借りて部屋へと戻った。

全自動洗濯機に入れてある私の下着類が回る音が、静かな室内に響いている。

「・・・うーん、話には聞いてたけど、確かにその姿は男の夢かも」

からかうような口調で言われたその言葉に、自分の姿を見下ろす。

背の高い彼のシャツは、裾が私の膝近くまであって、ワンピースみたいだから平気かなと思ったんだけど・・・。

近づいた私の手を取り、彼が私をベッドへと横たえる。

すぐ上にある、焦がれたその端正な顔だちの彼が、じっと私を見下ろす。

「・・・離れてても、他の男にそんな姿、絶対見せないで。

 俺も君以外、見ないから・・・・君も俺以外の男に、気を許さないで」

いつの間にか「僕」から「俺」に変わっていることが、私を独占したいと思ってくれていることが、嬉しくて。

はい、と頷こうとして・・・・唇を、塞がれた。

 

もどかしげに重ねられた唇は、上唇を何度かついばんだ後、歯列を割るように舌を差し入れてきた。

急くように私の舌を探し、絡められながらも、彼の手の平がシャツの上から私のふくらみをなで上げる。

かすめるように先端がこすれただけなのに、心臓が暴れだす。

情熱的な彼のキスに応えながらも、ボタンを外されて外気にさらされた肌が粟立つ。

恥ずかしくて、ぎゅっと閉じていた目を恐る恐る開けると、彼の唇は開かれた私の肌を追うように、少し

ずつ下の方をついばんでいく。

外すのももどかしいのか、めくるように除けられたブラからふるりと乳房がこぼれた。

あらわにされた胸の先端を、しごくように彼の舌が責め上げる。

もう片方の乳房は彼の指で押しつぶされるように刺激を与えられ、その度に膝をこすりあわせたくなる

ような疼きが強くなっていく。

ぐい、と膝が割られて開かれた脚の付け根に、彼の手の平が滑り込み、邪魔な布切れを脱がしてしまう。

もう既に潤っているだろうその場所をはじめは包むようにやわやわと揉み、熱くなったその場所を、ひっかく

ように指がなで上げた。

「・・・・あ、・・・んんっ」

すくうようにその部分を攻め立てる指が、下へと滑り落ちて、するりと私の中へと入り込む。

その圧迫感に息をつめると、ゆっくりと出し入れされる指が、静かな部屋を淫らな音で満たしていく。

私の表情を見逃すまいとでもするように、私の頬や額にキスをしながら、彼が指を増やして見つけた私の

くぼみに向けて、何度もそれを抽送する。

「・・・い、やっ・・・ああっ・・・」

自分の指をかんで声を殺そうとした手を止められて、彼のモノへと導かれる。

触れさせられたその熱い感触を、手の平の輪でそっと包むとそれが一層固くなったのが分かった。

「・・・・いい?」

乞うような、情欲にけぶる彼の視線に、こくりと頷いた。

私だってもう、指だけでは届かない場所に・・・私の奥に、来て欲しい。

 

用意を終えた彼は、もう一度私の上へと身体を重ねると、ぎゅうっと抱きしめて耳元へとささやいた。

「・・・・好きだ。一目ぼれなんて信じてなかったけど、自分が落ちてみて分かった。

 理屈とかじゃなくて・・・ただ、ああ、この子なんだ、って、見つけた、って思ったんだ。

 大事にする・・・離れてても、絶対に不安にさせないから」

だから・・・俺のものに、なって・・・。

 

お互いに背中に手を回し、つながったまま、もう一度キスを交わした。

熱い吐息が交じり合い、流し込まれた彼の唾液を嚥下し、彼と頬を重ねて。

ゆっくりと始まった抽送は、早く、強く、その勢いを増していく。

汗ばんだ彼の背中が、叩きつけられる彼の肌が出す音が、私と彼を高めていく。

彼に与えられる快感に、ぎゅうっとその部分に力をこめてこらえると、彼がうめくような声をあげて、

気持ち良すぎるよ、と笑った。

お互いの身体を汚している体液が、もうどちらのものかも分からないくらい何度も交わって・・・・。

朝が来る頃には、もう、照れずにキス出来るようになっていた。

昨日の朝にはまだ、名前さえ知らなかったなんて、嘘みたいに。

 

日曜日、たくさんのキスと約束を残して、彼は仙台へと旅立って行った。

またすぐに会えると分かってはいたけれど、それでもやっぱり、東京駅では泣いてしまった。

そのまま帰る気持ちにはなれなくて、用もないのにデパートの中をうろうろしてから家へと戻った。

玄関を開けると、お帰り、と明るい母の声が迎えてくれた。

デパ地下で買ったロールケーキを渡すと、あらコーヒーでも淹れるわね、と笑みを深くした。

つ、と立ち止まった母がじっと私の顔を見つめる。

「・・・あんた、彼氏でも出来たの?なぁんか、つやつやしてる」

・・・どきり。さすが同性は侮れない。

少しの嘘も見逃さない、といった表情の母に、ナイショ、と澄まして答えながらパンプスを脱いだ。

ちょっとお父さん、と興奮した声で居間に戻る母に苦笑いが浮かぶ。

まだ、言わない方が良かったかな。

片思いは長かったけれど・・・恋はまだ、始まったばかりなのに。

メールが届いた音に気がついて開くと、ディスプレイには彼の名前が表示されていた。

『もうすぐ仙台に着きます。月末までに部屋を片付けておくので、来てください。

 さっき離れたばかりなのに、はやく会いたいです。』

短いメールに、胸が弾む。もう、着いたんだ。仙台って、本当に近い。

『私も会いたいです。月末、楽しみにしてますね』

ほっとしながらも返信のメールを打つ私に、早く来なさいと母の声が呼ぶ。

送信されました、を見届けたあと、データを呼び出し、笑っている彼の写真を見つめた。

自然ににやけてしまう顔を無理に引き締めて、私は両親が揃って待ち受ける、取調室へと向かった。

 

終わり

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